はじまる

適当な事を適当に書く

カメラを止めるな

観劇前

とりあえず話題の映画ということで観てみようと思っていた。流行り物好きな知人(映画好きというわけではない)が、フェイスブックで「私の周りでは、いろいろ賛否両論でした。私は楽しめました。開始10分で途中で席を立った人もいました」などと書いており、どういうことか、と気になる。

とりあえず話題の映画ということで観てみよう。ネタバレ厳禁との触れ込みがあり、なるべく情報をいれないように気をつけていた。

上映館は、新宿や池袋、日比谷があったが、最も「ぽい」だろう、また他の映画館より空いているだろう、という思惑で、池袋シネマロサを選んだ(低予算という触れ込みやポスターのデザインから、B級映画ぽいノリなのだろうと踏んで、古めの小さい映画館が雰囲気だろう、と思ったのだ)。

 

上映館を調べるにあたり、副題が「one cut of the dead」ということがわかった。どうやらゾンビ物らしい。ゾンビ物苦手なんだけど、大丈夫だろうか。グロイの苦手なんだよな。あとジャンルが「コメディ」だと。ゾンビ物なのにコメディ?よくかわらん。まあ見ればなんとかなるだろう。しかし、「one cut」という副題から推測するに、最初から最後までワンカットで撮影した映画なのだろうか。少なくとも、映画なら1時間以上は尺があるし、そんなとんでも無いことあるのか?など考えを巡らせた。

鑑賞予定日当日、池袋にいく。池袋駅西口から歩いてシネマロサに向かう。さて、古びた池袋シネマロサには、なんと行列ができていた。シネマロサで行列なんかみたことねえよ。小一時間行列に並び、2時間先の夕方の上映回のチケットを購入した。

どんなグロイ映画か、どんな下品な映画かわからない。ゾンビ物ならゲロや、場合によっては糞便もでてくるかもしれない。鑑賞後には食欲がなくなってるかもしれないと思い、夜御飯には早かったが腹ごしらえをした。

 

観劇中

シアターは満員だった。間もなく上映が始まる。

 

劇中劇なんだろうな、という印象を持ちながら見始める。登場人物のセリフが途切れたり、不自然なセリフ回しに違和感を感じながら、「これはなにか意味があるのかな?回収される伏線なのかな?」などと思う。監督がカメラに指差しながや「カメラは止めない!」と叫ぶシーンでは、「カメラマンはいるのか。ではこのカメラマンは誰なんだ?」と伏線の存在を感じる。

一人残った千夏が血まみれで手斧を片手に歩くシーンでは、「このままカメラに向かって斬り掛かってくるのでは?そしてカメラマンの正体が明かされるのでは?」と思ったが、特にそんなことはなかった。実はゾンビ化していたカメラマンが千夏を襲う、という展開も頭を過ったが、特にそれからハプニングはなく、血の紋様の中心に立ち空を見据える千夏を俯瞰した映像で、エンドロールが流れる。予想通り、劇中劇であることが判明、第一幕は終幕した。

 

そして第二幕。劇中劇が終わった時点でワンカットじゃなくなった。そしてホームドラマのようなシーンが続く。特にハプニングもないストーリーが続く。ここは辛かった。「俺は映画一家を主役に据えたホームドラマを見に来たのか?」とダルくなる。そして、劇中劇の題名そのものが「one cut of the dead」だと言うことが明かされる。撮影の為の役者陣が揃うが、劇中劇と面子が異なる。どうやって監督と奥さんが役者陣に入り込むのか。狂気の監督、という役柄の監督が、実際は家族思いの小心者、というギャップが良かった。

 

第三幕。ここはもう爆笑。劇中劇の伏線がどんどん回収される。シアターも度々笑い声が起こっていた。ゲロもうんこもでてきたが、かわいいもので小学生の下ネタのような使われ方だった。劇中劇の撮影が終わった瞬間、映画自体がほぼスパッと終わったのが良かった。

もうひとまわりメタな展開もあるかもしれない、と思ったが、作品としてそういう展開はなかった(あったら蛇足だよね)。ただ、エンドロールの映像が実際の撮影風景を追ったものだった。

 

観劇後